デジタル金券(OTACO)
要改善
産業ミライ推進課
発展的に再構築 4
広域的に再構築 5
要改善 21
現行通り 6
拡充 3
合算(全属性)
このレポートから言えること
- デジタル金券(OTACO)の判定は「要改善」と結論。判定人計26名のうち、最多は「要改善」の13名。作り直す側(発展的・広域的に再構築)が5名、続ける・広げる側(現行通り・拡充)が8名。
- 特記事項から見える論点は、2025年度に3,350万円へ膨らんだシステム費用を含む「費用対効果・行政の役割」(18人が言及)と、「キャンペーン・交付金依存」(13人、「上乗せのときしか使っていない」)。これに対して行政が説明できるかどうかが、市民の結論に大きな影響を与えると予想される。
1. 特記事項から見える事業存続への6つの論点
AIによる整理
市民判定人の結論は割れたが、問題意識は重なっている。特記事項から論点が読み取れた29名(判定人22名・傍聴者7名)で最も多く挙がったのは「費用対効果・行政の役割」の18人で、5つの結論すべてから挙がった唯一の論点でもある。システム費用の増加は続くのか、3つの目的のどれを優先するのか——この2点が未解決のまま判定に持ち込まれた。
属性を絞り込み中。図と論点カードの内訳は絞り込みに追随する。本文と「この図から読めること」の人数は、全属性のときの値である。
評価シートの特記事項を意味単位に分け、各人の結論(発展的に再構築、広域的に再構築、要改善、現行通り、拡充)とその理由を読み分けた。結論が違っても同じ論点や同じ理由を書いていた箇所を、下の図に集めた。
論点ごとに、どの結論の人が何人いるかがわかる。帯の幅は、その論点に言及した実人数である。
この図から読めること
- 最多は費用対効果・行政の役割の18名。作り直す側から拡充側まで5つの結論すべてに分かれており、問題の存在は共有されているのに、対応が最も割れている論点。
- チャージ手段・加盟店・使い勝手(14名)と目的の曖昧さ・成果測定(13名)は、どちらも要改善が10名を占める。結論を変えるより先に「続けるなら、ここを直せ」という改善要求が集中している。
- マイナ・民間Pay・広域連携(9名)だけは、続ける・広げる側からの言及がゼロ。この論点を書いた人は、全員が何らかの見直しを求めている。
発展的に再構築広域的に再構築要改善現行通り拡充
母集団: 特記事項に論点が読み取れた29名(市民判定人18・外部委員4・傍聴者7)。帯の幅はその論点に言及した実人数。
それぞれの結論とその論点の分布
左に結論、右に論点を置き、その結論の人がその論点を語った人数で帯を引いた。
この図から読めること
- 要改善の18人は延べ49回、6つの論点すべてに帯を伸ばしている。同じ「要改善」という結論でも、直したい場所は人によって違う。
- 費用対効果・行政の役割には、5つすべての結論から帯が届く(18人)。どの立場からも避けて通れない論点になっている。
- 現行通り・拡充の6人も延べ16回言及しており、帯の多くは費用対効果・キャンペーン依存・使い勝手の実務論点に向かう。続ける側も無条件の継続ではなく、条件付きの支持と読める。
発展的に再構築広域的に再構築要改善現行通り拡充
母集団: 特記事項に論点が読み取れた29名(市民判定人18・外部委員4・傍聴者7)。帯の幅はその論点に言及した実人数。
発展的に再構築 2広域的に再構築 1要改善 10現行通り 4拡充 1
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- システム費用の重さと、「税金をかけて再配布する事業を行政がやるべきか」という問いそのものは、5つの結論すべての人が共有している。
- 分かれる点
- 「費用に見合う効果が示せるなら続ける価値がある」という条件文には多くが乗る(黒字化、費用圧縮、内訳の開示と、条件はそれぞれ違う)。最後まで残るのは、行政の事業を民間と同じ損得で測ってよいかという価値判断で、ここは数字が出そろっても割れたままになる。
根拠となる発言の原文(1件)
要改善市民判定人「システム3350万。委託先の評価・選定・再評価は?交付金なくなったらどうすんの?市の一般財源で?」
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発展的に再構築 2広域的に再構築 0要改善 7現行通り 3拡充 1
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 「上乗せキャンペーンのときしか使っていない」という利用実感は、結論の違う13人からほぼ同じ言葉で語られている。対立しているのは態度であって、事実認識はそろっている。
- 分かれる点
- 「日常利用は育てられるか」への賭けの向き。育てられると見る側(現行通り3・拡充1)は設計の改善を、育たないと見る側(発展的に再構築2)は畳み方を求め、要改善の7人はその判定材料の開示を求めている。
根拠となる発言の原文(2件)
発展的に再構築市民判定人「キャンペーンポイントのためにしか使われないのでは。オタコが無くなったら現金に戻る人もいるのでは。」
現行通り市民判定人「キャンペーンで購入した残高が無くなったら放置。キャンペーン以外で日常利用がはかどる施策の充実が地域経済の活性化につながると思う。」
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発展的に再構築 1広域的に再構築 0要改善 10現行通り 2拡充 1
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- チャージ手段が限られ、使える店が少なく、利用がチェーン店に流れがちだという「使い勝手の事実」は、結論をまたいで一致している。
- 分かれる点
- チェーン店の扱い。市内中小への還元を重くみる側はチェーン店より地元店を優遇する設計替えを、日常使いを重くみる側はチェーン店を含めた使いやすさを求める。加盟店の範囲を「絞る」か「広げる」かで、処方箋が逆を向く。
根拠となる発言の原文(2件)
要改善外部委員「市内経済活性化といってもチェーン店に流出。市内中小支援としてチェーン店より優遇するなど根本的に仕組みを見直しても良いのでは。」
現行通り市民判定人「日常使いして欲しいなら、チェーン店での利用はさけられないのでは。チェーン店で使えないと現金感覚での利用ができず、もらったのに使えないという事になってしまう。」
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発展的に再構築 2広域的に再構築 0要改善 10現行通り 1拡充 0
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- キャッシュレス推進、地域経済の活性化、行政ポイントという3つの目的が混ざったまま、成果を測る指標が定まっていないという認識は、言及した13人に共通している。
- 分かれる点
- 現行の形を前提にするかどうか。要改善の10人は優先順位とKPIの再設定を求め、発展的に再構築の2人は効果が不明なら形そのものを見直すべきだとする。「目的を改めて設定する」か「物価高騰対策と割り切る」かという外部委員の指摘が、分岐をそのまま要約している。
根拠となる発言の原文(1件)
要改善外部委員「目的を実現するツールとしてはあいまい(手段先行)。4年経った今、目的を改めて議論し設定する、又は物価高騰対策と割り切る。」
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発展的に再構築 1広域的に再構築 0要改善 6現行通り 2拡充 1
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 妊娠給付やワクワクポイントなど、行政からの給付をOTACOで受け取る仕組みの価値は、要改善派にも現行通り派にも拡充派にも認められている。この事業でいちばん割れていない部分である。
- 分かれる点
- 給付の受け皿「だけ」でよいのか。一律の還元より必要な人への給付を充実させるべきだという再設計論、反映の速さなど運用を直して続ける論、部局横断で広げる拡充論に分かれる。
根拠となる発言の原文(1件)
現行通り市民判定人「私は妊娠の時にOTACOでもらってとても助かったので、現行通りで良いと思う。給付(妊娠など)のポイント反映がもう少し早いとありがたい。」
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発展的に再構築 1広域的に再構築 2要改善 6現行通り 0拡充 0
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- PayPayなどの民間サービスやマイナンバーカードとの関係を整理すべきで、市単独の囲い込みには限界がある、という認識が共有されている。この論点は「続ける・広げる」側からの言及がない。
- 分かれる点
- 見直しの深さ。広域で使える基盤に作り替える(広域的に再構築)、民間との役割分担を整理する(要改善)、既存のキャッシュレスと分かれた仕組み自体を改める(発展的に再構築)と、同じ方向の中で踏み込みが違う。
根拠となる発言の原文(1件)
要改善市民判定人「正直PayPayで良いと思ってしまっていた。マイナンバーに登録するのちょっと怖い。」
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2. 条件を変えて試算する
論点1「費用対効果・行政の役割」で問われた費用の大きさを、市民一人あたりに直して見る。市の純支出を仮定で動かすと、対象者数で割った比較値と、基準からの差がどう変わるかが分かる。
3. 似た事業に取り組んでいる自治体の判断
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やめた事例
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春日部市「かすかべ未来研究所」の調査研究報告書(2024年9月)は、終了したデジタル地域通貨として4件を挙げている。
- 長野県上田市「もん」(自治体運営、2021年2月実証開始・2022年3月終了)
- 北海道銀行・北陸銀行「ほくほくpay」(2019年11月〜2024年5月)
- 株式会社シモキタコイン(2018年9月〜2023年5月)
- 伊勢商工会議所「伊勢マイルポイント」(2019年2月〜2023年3月)
運営主体は自治体・銀行・民間企業・商工会議所に分かれる。
同報告書は一般論として「黒字化された事業は圧倒的に少なく、利用者が想定より伸びずランニングコストをまかなえずに終了するケースが見受けられる」と記す。ただし4件それぞれの終了理由は同報告書に明記されておらず、確認できなかった。
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続けている事例
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埼玉県深谷市「ネギー」:自治体運営、システムは太田市と同じchiica。2019年に実証、2021年から通常運用。加盟店956店・利用者約5万8千人(2024年5月)。子育て支援金の給付にポイントを利用。
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千葉県木更津市「アクアコイン」:2018年開始、2026年度も継続見込み。
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岐阜県高山市ほか「さるぼぼコイン」:2017年開始、加盟店約2,000店・利用者約3万人(2024年5月)。運営は市ではなく飛騨信用組合。利用者間・加盟店間の送金ができる点がchiicaと違う。
- 日本総研は、成功例とされるさるぼぼコインでも「3年でトントン」と分析している。
関連する行政事業の記録
自治体の事業仕分け・行政評価の公開記録を検索できる「Jレビュー」と、国の行政事業・予算・支出先を検索できる公開データベース「JUDGIT!」から、成果・費用・運営主体・地域経済への効果を考えるうえで関連する記録を抜き出した。
- 注1 サンキー図だけは帯の交差が少なくなる順に置いているが、番号は共通である。「作り直す」は発展的に再構築と広域的に再構築を、「続ける・広げる」は現行通りと拡充をまとめた呼び方で、図の色は5つの判定のままである。並び順に使った「合意の広さ」は、全体レポートの2節と同じ指標で、3つの立場(作り直す・要改善・続ける/広げる)それぞれについて、その立場の人のうち何人がその論点に触れたかを割合にし、3つを掛け合わせた値で降順に並べている。掛け算なので、1つの立場からしか挙がらない論点は自動的に下がり、立場をまたいで挙がる論点が上に来る。人数の少ない立場で値が跳ねないよう、割合は「言及した人数+1」÷「その立場の人数+2」として数える。単純な言及人数の多い順ではないため、14人のチャージ手段・加盟店・使い勝手が13人のキャンペーン・交付金依存より下に来る。並べ方そのものを比べた試作は試作のバタフライ図にあり、同じデータをスパイン、ヒートマップ、沖積図などに置き換えた案も同じ場所に並べてある。
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数値の一覧表(各グラフの出どころ)
| 指標 | 単位 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
| 事業費合計 | 千円 | 1,695,147 | 2,502,700 | 3,345,666 | 1,868,996 予算 |
| 人件費 | 千円 | 20,000 | 20,000 | 28,700 | 13,750 予算 |
| 市の純支出(特定財源を除く) | 円 | 10,180,088 | 10,970,310 | 43,556,322 | — |
| 総発行額 | 千円 | 3,090,062 | 1,340,223 | 3,292,784 | — |
| 総利用額 | 千円 | 3,065,419 | 1,330,380 | 2,877,693 | — |
| キャンペーン販売額 (目標) | 千円 | 1,963,204 (2,000,000) | 445,791 (500,000) | 1,171,446 (1,200,000) | — |
| 行政ポイント発行額 | 千円 | 539,610 | 529,250 | 428,879 | — |
| 通常チャージ販売額 | 千円 | 87,969 | 169,932 | 239,947 | — |
| 定額カード販売額 | 千円 | 82,481 | 107,458 | 104,805 | — |
| 会員数 | 人 | 55,645 | 67,381 | 98,650 | — |
| 加盟店数 (うちカード利用可) | 店 | 940 (457) | 924 (453) | 954 (561) | — |
| 担当職員数 | 人 | 2.5 | 2.5 | 3.7 | 2.0 予算 |
2023・2024年度は決算、2025年度は決算見込、2026年度は予算。出典: 太田市「事業シート(概要説明書)太田市デジタル金券事業」(2026年度・事業番号1)、「事業費内訳の補足資料」、当日投影資料「OTACO概要」。億円表記は千円単位の原数値からの換算(端数処理あり)。
- 当日投影資料: OTACO概要(18ページ)(PDF)
- 本ページは2026年8月28日版。公式事業シート・当日投影資料・補足資料を反映したが、担当課の確認を経ていない。ヒアリングのあと、担当課の回答と訂正を併記した版に更新する。それまで一般には公開しない。事実誤認はヒアリングの場で指摘してほしい。訂正はこのページと全体の分析レポートに反映する。
- 作成は合同会社多元現実(構想日本のクライアントワーク)。発言の整理と草稿作成にAIを使い、引用の原文一致と数値の出典は人が確認した。数値の出典は上の一覧表のとおり。3節の他自治体の事例は、春日部市「かすかべ未来研究所」調査研究報告書(2024年9月)、日本総合研究所の分析、Jレビュー、JUDGIT!の公開記録による。10事業を横断した比較、手法、検算、データ来歴は全体の分析レポートの付録で確認できる。