刀水橋花火大会
要改善
産業環境部 観光プロモーション課
発展的に再構築 12
広域的に再構築 1
要改善 16
現行通り 0
拡充 3
このレポートから言えること
- 刀水橋花火大会の判定は「要改善」と結論。判定人計26名のうち、最多は「要改善」の15名(市民判定人13名・外部委員2名)。作り直す側(発展的・広域的に再構築)が8名、続ける・広げる側(拡充)が3名で、「現行通り」は0票だった。
- 特記事項から見える論点の最多は、「花火という手段・ワイルドナイツ」の12人(「ラグビーチームとのつながりなら花火じゃなくてもよい」)。「太田市の負担・費用対効果」「アクセス・駐車場・会場」も同数の12人が言及した。個別の改善より先に、花火という手段が目的に合っているのかを説明できるかどうかが、市民の結論を左右する。
1. 特記事項から見える事業存続への6つの論点
AIによる整理
判定人26名の最多は「要改善」の15名だが「現行通り」は0票で、参考値の傍聴者6名は「発展的に再構築」5名と会場と逆の方向に振れた。特記事項から論点が読み取れた28名(判定人23名・傍聴者5名)で最も多いのは「花火という手段・ワイルドナイツ」の12人で、目的に対して花火という手段が合っているのかという問いは、作り直す側から拡充側まですべての立場から挙がった。「太田市の負担・費用対効果」「アクセス・駐車場・会場」も同数の12人が言及している。未解決のまま残った問いは2つ。2市1町の負担額と割合はどの手順で決まり、3通りに割れた事業費(3,300万円・2,682.4万円・3,562.4万円)のどれが正なのか。市民と市外来訪者のどちらを主な対象と位置づけ、達成を何で測るのか。いずれも答え次第で費用対効果の読み方が変わるため、担当課への確認が必要である。
属性を絞り込み中。図と論点カードの内訳は絞り込みに追随する。本文と「この図から読めること」の人数は、全属性のときの値である。
評価シートの特記事項を意味単位に分け、各人の結論(発展的に再構築、広域的に再構築、要改善、現行通り、拡充)とその理由を読み分けた。結論が違っても同じ論点や同じ理由を書いていた箇所を、下の図に集めた。
論点ごとに、どの結論の人が何人いるかがわかる。帯の幅は、その論点に言及した実人数である。
この図から読めること
- 最多は花火という手段・ワイルドナイツ、アクセス・駐車場・会場、太田市の負担・費用対効果の各12名。とくに花火という手段は、作り直す4・要改善5・続ける3と、3つの立場すべてから挙がっている。
- 太田市の負担・費用対効果は作り直す側が6名と最も厚い。負担の重さを書いた人は、見直しの深い側に多い。
- 「現行通り」の帯はどの論点にもない(判定0票)。続ける側の3名(拡充)もアクセス・広報・財源の実務論点に言及しており、無条件の継続とは読めない。
発展的に再構築広域的に再構築要改善現行通り拡充
母集団: 特記事項に論点が読み取れた28名(市民判定人19・外部委員4・傍聴者5)。帯の幅はその論点に言及した実人数。
それぞれの結論とその論点の分布
左に結論、右に論点を置き、その結論の人がその論点を語った人数で帯を引いた。
この図から読めること
- 要改善の15人は延べ30回、6つの論点すべてに帯を伸ばしている。同じ「要改善」でも、直したい場所は人によって違う。
- 発展的に再構築の9人は延べ21回言及し、帯は「太田市の負担・費用対効果」(5人)と「目的の曖昧さ」「花火という手段」(各4人)に厚い。負担と目的への疑問が、作り直す判定に直結している。
- 広域的に再構築は1人だけで、帯は負担・目的・財源に向かう。広域連携の作り替えを求めた声は、この1人にとどまる。
発展的に再構築広域的に再構築要改善現行通り拡充
母集団: 特記事項に論点が読み取れた28名(市民判定人19・外部委員4・傍聴者5)。帯の幅はその論点に言及した実人数。
発展的に再構築 4広域的に再構築 0要改善 5現行通り 0拡充 3
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 目的に対して花火という手段が合っているのかという問いは、作り直す側・要改善・続ける側の3つの立場すべてから出ている。ワイルドナイツとの連携も、花火である必然性が薄いという見方が結論をまたいで共有されている。
- 分かれる点
- 手段の替え方。ドローンショーや通年で楽しめるスポットの整備など別の手段への置き換えを求める声と、花火そのものの魅力を上げて名物に育てる長期視点の声に分かれる。花火でなければ達成できない効果があるのかに、当日の記録は答えを出していない。
根拠となる発言の原文(2件)
要改善市民判定人「ラグビーチームとのつながりなら花火じゃなくてもよい。」
発展的に再構築市民判定人「人流データを見ても花火が住民に感動を与える手段に思えず、他の方法を考えた方が良いと思われる。」
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発展的に再構築 3広域的に再構築 0要改善 7現行通り 0拡充 2
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 駐車場が足りない・道が狭い・会場が遠いという体験は、作り直す側から拡充側まで同じ言葉で語られている。行きたくても行けない人がいるという認識に、立場の対立はほぼない。
- 分かれる点
- いまの会場を前提にするかどうか。遠隔駐車場とシャトルバスで現会場への行きにくさを解く案と、開催場所の変更や他の花火大会・祭りへの統合まで踏み込む案に分かれる。
根拠となる発言の原文(2件)
要改善市民判定人「花火は好きで毎回行きますが、駐車場にこまります。道路がせまいので止められない。駐車場を多くしていただきたい。」
要改善市民判定人「会場は他にできないのか? 新田花火大会やねぷた祭りに刀水橋花火を入れてしまえば?」
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3. 目的の曖昧さ(インナーかアウターか)
11名が言及
発展的に再構築 4広域的に再構築 1要改善 4現行通り 0拡充 2
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 市民向け(インナー)か市外向け(アウター)か、目的がはっきりしないという認識は、結論が違う3つの立場すべてに共通する。成果目標の「感動」では効果を測れないことも繰り返し指摘された。
- 分かれる点
- どちらへ寄せるか。費用対効果を測るなら外向けのプロモーションを前提にすべきだという声と、市民全体への恩恵になる形へ作り替えるべきだという声が並ぶ。市民と市外来訪者のどちらを主な対象と位置づけ、達成を何で測るのかは、担当課への確認事項として残った。
根拠となる発言の原文(2件)
要改善外部委員「市民の声にぜひ耳を傾けられて、この花火事業の目標と成果指標を再設定して頂きたい」
発展的に再構築傍聴者「市民全体への恩恵。例えば全国的規模に育てるのであれば、地域経済に寄与できるが、限定的な福利厚生感が否めない。」
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発展的に再構築 5広域的に再構築 1要改善 5現行通り 0拡充 1
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 2市1町のうち太田市の負担が、お金も動員も大きいという事実認識は、言及した12人に共通する。当日の記録には負担金2,500万円・66.7%という数字も残るが、公式資料での裏づけは取れていない。
- 分かれる点
- 負担割合が毎年変わる理由と、負担に見合う効果があるのかの評価。事業費の額自体も3通りが並存したまま一致しておらず、負担額と割合がどの手順で決まるのかは、担当課への確認事項として残った。
根拠となる発言の原文(2件)
要改善市民判定人「2市1町の負担割合が毎年変わるのはなぜ?」
要改善外部委員「太田市の負担に見合う市民還元の向上を図る施策の検討」
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発展的に再構築 3広域的に再構築 0要改善 5現行通り 0拡充 1
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 「知らなかった」「どこで観られるか分からない」という声が、結論を問わず出ている。太田市の負担割合を知っていれば足を運んだかもしれない、という人もいる。
- 分かれる点
- 周知の中身。打ち上げ場所・駐車場・観覧場所という開催情報の案内を求める声が最も厚い。費用負担の内訳まで含めた事前の公開を、どこまで市の判断でできるのかは、担当課への確認事項として残った。
根拠となる発言の原文(2件)
拡充市民判定人「太田市の負担が半分しめているのは知らなかった 知っていたら、足を運んだかも…」
要改善市民判定人「花火大会があることだけはわかるが、市民へ広報が足りないと思う。(場所名だけでは)打ち上げ場所の周辺図(駐車場、観られる場所)をHP等に示して欲しい。」
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発展的に再構築 2広域的に再構築 1要改善 4現行通り 0拡充 1
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 税金だけに頼らず、有料席・企業協賛・寄付で財源を作るという方向は、言及した8人で結論を問わず一致する。対立している論点ではない。
- 分かれる点
- 実現の前提。駐車場とセットにした有料席の設計など具体案を求める声の一方で、高くても払って観たいと思えるだけの花火になっているのか、という水準の問いが残っている。
根拠となる発言の原文(2件)
要改善外部委員「新たな財源確保策の検討」
発展的に再構築市民判定人「長岡、お台場のスターアイランドくらいインパクトのある花火だったら高額でも有料席を買いたいと思う」
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2. 似た事業に取り組んでいる自治体の判断
以下は提案ではなく、同じ制約に直面した他の自治体が実際に取った選択の列挙である。
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共催のまま頻度を落とした事例
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猪名川花火大会(兵庫県川西市・大阪府池田市・開催委員会の3者共催):県境の河川敷で開く共催の花火大会という構図が刀水橋と重なる。開催に要する経費は安全対策の強化や物価高騰で年々増え、令和6年度の予算はコロナ禍以前のおよそ2倍以上になったと市が説明する(川西市)。選ばれたのは廃止でも縮小でもなく、令和7年度の開催を見送っての隔年開催への移行だった。次回は令和8年度に第77回を11月に開催予定(プレスリリース)。共催自治体間の負担割合とその決め方は一次資料では確認できず、隔年開催が定着するかの材料もまだない。
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続けている事例(観客から財源を取る)
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長岡まつり大花火大会(新潟県長岡市):会場内全席を有料観覧席とする方針を続けており、令和7年度の事業計画では全体予算(経常収益計)約18.3億円のうち花火打ち上げ事業費は約2.9億円(約16%)で、残りを会場設営・安全対策などの運営費が占める(長岡花火財団)。2022年の全席有料化と2023年の約30万席完売は報道による。集客規模は刀水橋より大きい。
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姫路みなと祭海上花火大会(兵庫県姫路市):2025年度は約25,000席の有料観覧席を設けた(姫路市)。有料席の導入で黒字化したと報じられているが、収支の実額は確認できていない。
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やめた・休止した事例
- 釈迦堂川花火大会(福島県須賀川市):2025年に第44回を開催したうえで、収支の不安定さ、物価・人件費の高騰、限られた人員での運営の限界などを理由に、令和8年度(2026年)の開催を休止した。2027年度以降に民間と連携した新しい形式での再開を目指すとしている(須賀川市)。
- 御宿花火大会(千葉県御宿町):令和6年(2024年)の大会を中止した(御宿町観光協会。理由は公表資料に明記されていない)。太田市とは人口規模も財源の桁も異なる。
- 三陸花火(岩手県陸前高田市):2025年5月の開催予定を、連携予定企業との調整がつかず資金不足となったため見送った(Web東海新報)。
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確認できなかったこと
- 「有料席で市費ゼロを実現した」と数値で裏づけられる事例は、今回の調査では見つからなかった。有料化やふるさと納税化は市費の一部を代替する動きとしては確認できるが、ゼロ化の実例ではない。
関連する行政事業の記録
自治体の事業仕分け・行政評価の公開記録を検索できる「Jレビュー」と、国の行政事業・予算・支出先を検索できる公開データベース「JUDGIT!」から、観光イベントの成果・費用・負担金方式の運営を考えるうえで関連する記録を抜き出した。
- 注1 サンキー図だけは帯の交差が少なくなる順に置いているが、番号は共通である。「作り直す」は発展的に再構築と広域的に再構築を、「続ける・広げる」は現行通りと拡充をまとめた呼び方で、図の色は5つの判定のままである。並び順に使った「合意の広さ」は、全体レポートの2節と同じ指標で、3つの立場(作り直す・要改善・続ける/広げる)それぞれについて、その立場の人のうち何人がその論点に触れたかを割合にし、3つを掛け合わせた値で降順に並べている。掛け算なので、1つの立場からしか挙がらない論点は自動的に下がり、立場をまたいで挙がる論点が上に来る。人数の少ない立場で値が跳ねないよう、割合は「言及した人数+1」÷「その立場の人数+2」として数える。単純な言及人数の多い順ではないため、11人の「目的の曖昧さ(インナーかアウターか)」が12人の「太田市の負担・費用対効果」より上に来る。並べ方そのものを比べた試作は試作のバタフライ図にあり、同じデータをスパイン、ヒートマップ、沖積図などに置き換えた案も同じ場所に並べてある。
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数値の一覧表(各グラフの出どころ)
| 指標 | 単位 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
| 打上げ花火実行委員会負担金 (当初予算) | 千円 | 15,000 新規 | 15,000 | 25,000 | 18,000 予算案 |
出典: 太田市「当初予算(案)の概要」の令和5〜8年度版(下の直リンク)。万円・億円表記は千円単位の原数値からの換算。実行委員会全体の総事業費や他の構成自治体の負担額を示す公開資料は見つかっていない。
- 太田市「当初予算(案)の概要」: 令和8年度 / 令和7年度 / 令和6年度 / 令和5年度(いずれもPDF)
- 本ページは2026年8月28日版。公式資料と当日の記録を反映したが、担当課の確認を経ていない。ヒアリングのあと、担当課の回答と訂正を併記した版に更新する。それまで一般には公開しない。事実誤認はヒアリングの場で指摘してほしい。訂正はこのページと全体の分析レポートに反映する。
- 作成は合同会社多元現実(構想日本のクライアントワーク)。発言の整理と草稿作成にAIを使い、引用の原文一致と数値の出典は人が確認した。数値の出典は、上の一覧表と太田市「当初予算(案)の概要」、太田市の大会案内ページ・プレスリリース、および2026年8月22日のおおた未来デザイン会議(政策継承検討委員会)の評価シート・当日の記録である(当日の記録だけの数値はその旨を本文に明記した。市の公式事業シートは参照していない)。2節の事例は、川西市・須賀川市・姫路市・御宿町観光協会・長岡花火財団の公式ページ・公開資料、Jレビューの公開記録、Web東海新報などの報道による。10事業を横断した比較、手法、検算、データ来歴は全体の分析レポートの付録で確認できる。