発展的に再構築 1
広域的に再構築 0
要改善 12
現行通り 6
拡充 9
このレポートから言えること
- おうかがい市バスの判定は、合算では「要改善」だが、最多の区分は属性で入れ替わる。28票の内訳は要改善12・拡充9・現行通り6・発展的に再構築1。市民判定人21名に限ると最多は「拡充」の8で、「作り直す」は傍聴者の1票だけ、紙の評価シート25枚では0票だった。
- 特記事項の最多論点は「必要性・対象者の拡大」(11人が言及)。妊産婦・未就学児・部活動送迎への拡大が具体的に挙がる一方、「予約が取りづらい」という声も同時に出た。広げる前に予約の詰まりを解く、その順序を示せるかが担当課への核心の問いになる。
1. 特記事項から見える事業存続への6つの論点
AIによる整理
評価シート25枚と傍聴アンケート3件を合わせた28票は要改善12・拡充9・現行通り6・発展的に再構築1で、紙の記入者25名に「作り直す」を選んだ人はいない。市民判定人21名だけなら最多は「拡充」の8で、全体最多の「要改善」は3属性を合算した結果である。特記事項から論点が読み取れた22名(判定人21名・傍聴者1名)で最も多いのは「必要性・対象者の拡大」の11人で、存廃ではなく、誰まで乗せるかと、そのための予約・供給をどう厚くするかに議論が集まった。未解決の点は4つ。報道が伝える予約不成立の88人→39人→86人という動きを、対象人口の自然増と増車で使えると分かった人の新規申込のどちらとして見ているか、断られた需要は記録に残っているか。対象を広げる方向と、いまの対象のなかで供給を厚くする方向のどちらを先に置くか。当日示された1回あたりの経費は、どの分母・分子で算出された値か。市営無料バスとの役割分担と、策定予定の地域公共交通計画へ何を引き継ぐか。いずれも担当課への確認が必要である。
属性を絞り込み中。図と論点カードの内訳は絞り込みに追随する。本文と「この図から読めること」の人数は、全属性のときの値である。
評価シートの特記事項を意味単位に分け、各人の結論(発展的に再構築、広域的に再構築、要改善、現行通り、拡充)とその理由を読み分けた。結論が違っても同じ論点や同じ理由を書いていた箇所を、下の図に集めた。
論点ごとに、どの結論の人が何人いるかがわかる。帯の幅は、その論点に言及した実人数である。
この図から読めること
- 最多は必要性・対象者の拡大の11名。「作り直す側」からの言及は6つの論点すべてで0で、要改善4・続ける7と、事業を前提にした議論になっている。
- 予約システム・IT化(9名)は要改善3・現行通り3・拡充3と、結論の異なる人が同じ割合で言及した唯一の論点。予約の取りにくさは、どの結論を選んだ人にも共通の体験になっている。
- 成果指標・需要把握(6名)は要改善4が中心で、「続けるなら、需要をまず測れ」という改善要求が集まる。
発展的に再構築広域的に再構築要改善現行通り拡充
母集団: 特記事項に論点が読み取れた22名(市民判定人17・外部委員4・傍聴者1)。帯の幅はその論点に言及した実人数。
それぞれの結論とその論点の分布
左に結論、右に論点を置き、その結論の人がその論点を語った人数で帯を引いた。
この図から読めること
- 要改善の9人は延べ19回、6つの論点すべてに帯を伸ばしている。同じ「要改善」でも、直したい場所は予約・料金・成果指標と人によって違う。
- 拡充の7人も延べ15回、6つの論点すべてに届く。無条件の賛成ではなく、対象・予約・運行時間の広げ方を具体的に語っている。
- 必要性・対象者の拡大(11人)には3つの結論すべてから帯が届く。事業の必要そのものは、立場をまたいだ共通認識になっている。
発展的に再構築広域的に再構築要改善現行通り拡充
母集団: 特記事項に論点が読み取れた22名(市民判定人17・外部委員4・傍聴者1)。帯の幅はその論点に言及した実人数。
発展的に再構築 0広域的に再構築 0要改善 4現行通り 1拡充 6
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 高齢化と免許返納が進むなかでこの事業は必要だという認識は、言及した11人のほぼ全員に共通し、廃止を求める記入はない。外部委員からも「デマンド型の公共交通は今後も必要」という記述が出ている。
- 分かれる点
- どこまで広げるか。妊産婦・未就学児・部活動送迎・1人で行動できない障がい者と、対象の候補は具体的に挙がる。一方で「要改善」側の関心はいまの対象の中の供給不足に向いており、予約が取れない状態のまま対象を広げてよいのかという順序の問いが残る。
根拠となる発言の原文(2件)
拡充市民判定人「少子高齢化で、移動手段がない高齢者は、まだ増えていくと思うので、この事業は必要。」
要改善外部委員「対象者に妊産婦や未就学児を拡大など 市民の希望に応える形で」
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発展的に再構築 0広域的に再構築 0要改善 3現行通り 3拡充 3
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 予約が取りにくく、仕組みが高齢者に分かりにくいという体験は、「要改善」「現行通り」「拡充」のどの結論の人にも共通している。予約できない人が利用をあきらめている可能性も、複数の記入がにおわせている。
- 分かれる点
- 解き方。ライドシェアによる予約枠の拡大、高齢者にも操作しやすいアプリ、GNSSでの車両位置表示、電話回線の増強と、提案の幅は広い。予約の取りにくさをシステムの問題として直すのか、車両・運転手という供給の問題として直すのかで、投資の先が変わる。
根拠となる発言の原文(2件)
拡充市民判定人「利用したい時 予約とれない.(AM.通院 → HP 受診時間 ずらせるか)」
現行通り市民判定人「予定のシステムが難しいのを ライドシェアへの考えがある。(未来)(予約とりづらい)。」
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発展的に再構築 0広域的に再構築 0要改善 4現行通り 2拡充 2
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 1回あたりのコストに対して利用者負担が片道200〜300円という構造に見直しの余地がある、という認識は「要改善」と「現行・拡充」の双方にある。当日の会場では「単位当たりのコスト2960円」という数値が示されたが、これは当日の発言中のもので、公開資料には記載がない(公式に確認できる最新は平成27年度の1,569円)。
- 分かれる点
- 効率化の入口。乗り合いの割合が2割程度なら車両を小さくして経費を下げる、時間差をまとめて乗車を増やす、少し値上げしても利用したい人を増やす、国や県の補助を求めると、処方箋が分かれる。
根拠となる発言の原文(2件)
現行通り市民判定人「単位当たりのコスト2960円のところ利用者負担が200円〜300円は 安くてよいが、負担割合としてどうなのか。 そもそも単位当たりのコストをもっと下げる方法はないのだろうか。」
要改善市民判定人「現状 乗り合いの割り合いが2割ちょっとというのであれば、車両をコンパクトにして経費を下げられないのか。」
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発展的に再構築 0広域的に再構築 0要改善 3現行通り 2拡充 2
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- タクシー等の民業を圧迫しない範囲でという前提と、そのうえで連携を深めるという方向は、結論をまたいで一致している。
- 分かれる点
- 住み分けの線。タクシー業界との連携をどう組むか、福祉制度や病院との境界をどこに引くか。支払いにOTACOを入れて高齢者の利用を促す提案も出た。「公共交通計画の議論を踏まえて」という外部委員の指摘のとおり、この線引きは策定予定の地域公共交通計画に直結する。
根拠となる発言の原文(2件)
現行通り市民判定人「高齢化時代、この事業は本来拡充すべきと思うが、タクシー事業への営業妨害は防止するという制約がある以上、現行通りとする他はない。」
拡充外部委員「タクシー業界との連携が必要.」
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発展的に再構築 0広域的に再構築 0要改善 4現行通り 1拡充 1
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 前年度利用者を母数にした目標値の立て方では本当の需要が見えない、という指摘は言及した6人に共通している。
- 分かれる点
- 何を測るか。予約できなかった人を含む潜在需要、時間帯別・地区別の乗車率、台数ごとの稼働率、免許返納につながったかどうかと、候補は挙がったが、いずれも公開された記録がない。本来の目的(外出機会の確保・創出)に合った成果指標の設定を求める記述が外部委員から複数出ている。
根拠となる発言の原文(2件)
要改善外部委員「予約できなかった人を含めた潜在需要 時間帯別、地区別の乗車率のさらなる検証.」
拡充市民判定人「目標値 前年度利用者が母数 →なんで、市内の全数に対してじゃないの?」
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発展的に再構築 0広域的に再構築 0要改善 1現行通り 2拡充 1
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 利用が午前の通院に集中している(8〜11時に7割)という実態と、運行時間を通院の実態に合わせるという方向は共通している。
- 分かれる点
- 午後や土日へ広げられるか。午後の通院向けの見直しや土日運行を求める声に対し、当日の会場では土日運行は「検討中」というメモも残る。車両と運転手という供給の制約のなかで、どの時間帯から応えるかが残る。
根拠となる発言の原文(2件)
拡充市民判定人「午前中に集中 8〜11 7割活動(通院多)」
要改善外部委員「運行時間の見直し(午後の通院向けに)」
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2. 似た事業に取り組んでいる自治体の判断
高齢者らの移動支援を、他の自治体がどの方式で担い、どう判断しているかを事実として並べる。
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タクシー券方式を選び、続けている事例
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前橋市「マイタク」:2016年1月に市全域で開始。対象は満75歳以上、満65歳以上で運転免許のない人、障がい者、要介護・要支援認定者、妊産婦、免許自主返納者など。運賃の半額(1運行あたり上限1,000円)を補助し、登録者は令和4年11月時点で約32,000人。※出典としていた前橋市の案内ページは現在404で、これらの数値は2026年8月29日時点で公式ページから再確認できていない。既存のタクシー車両とドライバーを使うため車両調達と運行委託が要らず、利用者が時間と目的地を選べる。妊産婦や要介護認定者まで含む点で、太田市の70歳以上・障がい者手帳保有者より対象が広い。デマンドバス方式は市が停留所・時間・台数を管理し相乗りによる圧縮を狙えるが、予約が集中したときの「取れない」という容量制約が構造的に生じる。
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AIオンデマンド交通で、実証の数値を公表している事例
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大阪府豊能町「ハニタス」:2023年10月から2024年2月までの126日間、阪急バス・京都タクシーの共同運行で有償実証。車両3両・乗降場所111か所・運賃300円で、乗車2,766件・3,243人、ユニーク利用者476人、相乗り率19.42%(豊能町「結果速報」)。AI配車を使った実証でも相乗り率は2割に届かず、当日の会場で示された太田市の「乗り合いの割り合いが2割ちょっと」という水準は、方式を変えても簡単には上がらないことを示す。
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実証を終え、本格運行に移らなかった事例
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東京都豊島区「mobi」:2022年4月から大塚駅周辺で実証したが、2024年8月31日で終了し、本格運行への移行を見送った。区の地域公共交通会議では、採算性の面で公共交通として位置づけることが難しいと説明された(日本経済新聞)。
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静岡県掛川市「CHAIのり号」:2026年1月31日で実証を終了。長距離移動への不適格性と、車両ごとに運行エリアが限られることによる非効率が課題として挙げられている(掛川市)。
関連する行政事業の記録
自治体の事業仕分け・行政評価の公開記録を検索できる「Jレビュー」と、各自治体の公表資料から、デマンド型交通・コミュニティバスの費用と成果を考えるうえで関連する記録を抜き出した。
- 注1 サンキー図だけは帯の交差が少なくなる順に置いているが、番号は共通である。「作り直す」は発展的に再構築と広域的に再構築を、「続ける・広げる」は現行通りと拡充をまとめた呼び方で、図の色は5つの判定のままである。並び順に使った「合意の広さ」は、全体レポートの2節と同じ指標で、3つの立場(作り直す・要改善・続ける/広げる)それぞれについて、その立場の人のうち何人がその論点に触れたかを割合にし、3つを掛け合わせた値で降順に並べている。掛け算なので、1つの立場からしか挙がらない論点は自動的に下がり、立場をまたいで挙がる論点が上に来る。人数の少ない立場で値が跳ねないよう、割合は「言及した人数+1」÷「その立場の人数+2」として数える。並べ方そのものを比べた試作は試作のバタフライ図にあり、同じデータをスパイン、ヒートマップ、沖積図などに置き換えた案も同じ場所に並べてある。
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数値の一覧表(各グラフの出どころ)
| 指標 | 単位 | 平成24年度 | 平成25年度 | 平成26年度 | 平成27年度 |
| 延べ利用回数 | 回 | 20,582 | 25,969 | 30,703 | 32,108 |
| 委託料合計 | 円 | 39,176,548 | 41,942,622 | 50,820,500 | 50,389,080 |
| 1回あたり運行経費 | 円 | 1,903 | 1,615 | 1,655 | 1,569 |
| 利用登録者数 | 人 | 2,362 | 2,776 | 3,082 | 3,117 |
| 実利用者数 | 人 | 775 | 934 | 998 | 946 |
出典: 太田市「地域公共交通網形成計画」(平成29年9月)表31〜33(資料: 交通対策課)。令和8年度当初予算のデマンドバス(おうかがい市バス)運行事業委託料57,262千円(前年度比+4,554千円・+8.6%)は太田市「令和8年度当初予算(案)の概要」による。
- 太田市「地域公共交通網形成計画」(平成29年9月・PDF)
- 太田市「令和8年度当初予算(案)の概要」(PDF)
- 太田市「おうかがい市バスのご案内」
- 判定の元データは、2026年8月22日の「おおた未来デザイン会議(政策継承検討委員会)」で記入された評価シート25枚(市民判定人21・外部委員4)と、傍聴者向け倍速アンケート3件。傍聴者の3件は参考値で、当日の集計には含まれない(選択式に答えた傍聴者は1名・全9問。うち予約記録の有無を問う1問への回答は「いいえ」だった)。紙の集計はスキャン134ページを全数OCRし、集計シートの得票数と個人シートの○の枚数が全5事業で一致することを確認済み。1名の記入は総意ではなく、記入がなかったことも賛否ではない。
- 本ページは2026年8月28日版。公式資料と当日の記録を反映したが、担当課の確認を経ていない。ヒアリングのあと、担当課の回答と訂正を併記した版に更新する。それまで一般には公開しない。事実誤認はヒアリングの場で指摘してほしい。訂正はこのページと全体の分析レポートに反映する。
- 作成は合同会社多元現実(構想日本のクライアントワーク)。市の内部者ではなく、おうかがい市バスの事業シート(概要説明書)は入手できていないため、事業の基礎数値は公開資料に基づく。発言の整理と草稿作成にAIを使い、引用の原文一致と数値の出典は人が確認した。数値の出典は上の一覧表のとおり。2節の事例は前橋市・豊能町・掛川市の公表資料、日本経済新聞の報道、Jレビューの公開記録による。デマンド型のまま利用と収支を安定させて継続している事例、AI配車の効果として流通する「待ち時間27%削減」の一次資料、デマンド交通の収支率・1回あたり運行経費の全国相場は、今回の調査範囲では確認できなかった。10事業を横断した比較、手法、検算、データ来歴は全体の分析レポートの付録で確認できる。