発展的に再構築 1
広域的に再構築 0
要改善 13
現行通り 7
拡充 8
このレポートから言えること
- 1%まちづくりの判定は「要改善」と結論。判定人計25名のうち、最多は「要改善」の10名。作り直す側(発展的に再構築)は1名にとどまり、続ける・広げる側(現行通り・拡充)が14名。続ける・広げる側が要改善を上回ったのは、1日目5事業のうちこの事業・おうかがい市バス・市営無料バスの3事業である。
- 特記事項から見える論点は、目標値や対象の線引きを問う「制度設計・成果指標」(16人が言及)と、高齢の担い手を前提にするかを問う「若者・担い手の参加」(8人)。続ける側が厚いことは「現状のままでよい」を意味せず、市全体への効果を何で測るかが次の判断材料になる。
1. 特記事項から見える事業存続への6つの論点
AIによる整理
判定は「要改善」の10名が最多だが、作り直す側は1名で、現行通り・拡充を合わせた続ける・広げる側が14名。続ける・広げる側が要改善を上回ったのは、1日目5事業のうちこの事業・おうかがい市バス・市営無料バスの3事業である。特記事項から論点が読み取れた22名(判定人20名・傍聴者2名)で最も多く挙がったのは「制度設計・成果指標」の16人で、拡充と答えた人からも対象の線引きや指標への注文が出ており、続ける側が厚いことは「現状のままでよい」を意味しない。継続事業のマンネリ化、担い手の高齢化、実施地区の偏りという当日の論点の多くは、平成26年度の議会評価と平成30年度の検証に同じ課題として載っている。「知らなかった」という記述が判定理由に直結した件数は10件で、対象5事業のうち最多だった。申請から実績報告までのどの段階が参加の壁か、若い世代を呼び込む方向といまの担い手を支える方向のどちらへ寄せるか、参加者アンケート以外に市全体への効果を何で測るか——この3点が未解決のまま判定に持ち込まれ、担当課への確認が必要である。
属性を絞り込み中。図と論点カードの内訳は絞り込みに追随する。本文と「この図から読めること」の人数は、全属性のときの値である。
評価シートの特記事項を意味単位に分け、各人の結論(発展的に再構築、広域的に再構築、要改善、現行通り、拡充)とその理由を読み分けた。結論が違っても同じ論点や同じ理由を書いていた箇所を、下の図に集めた。
論点ごとに、どの結論の人が何人いるかがわかる。帯の幅は、その論点に言及した実人数である。
この図から読めること
- 最多は制度設計・成果指標の16名。作り直す側から拡充側まで挙がるが、続ける・広げる側が10名と厚く、「続けたうえで作り込みを直せ」という向きに集まっている。
- 広報・認知不足(10名)と申請ハードル・事務負担(9名)は、どちらも要改善の5名が最多。判定人自身が「知らなかった」と書く事業で、入口の見えにくさへの改善要求が集中している。
- 伴走支援・運営支援(6名)は要改善4名が中心で、続ける・広げる側からの言及は1名。補助金の交付だけで完結する現行の形への注文になっている。
発展的に再構築広域的に再構築要改善現行通り拡充
母集団: 特記事項に論点が読み取れた22名(市民判定人16・外部委員4・傍聴者2)。帯の幅はその論点に言及した実人数。
それぞれの結論とその論点の分布
左に結論、右に論点を置き、その結論の人がその論点を語った人数で帯を引いた。
この図から読めること
- 要改善の10人は延べ25回、6つの論点すべてに帯を伸ばしている。同じ「要改善」という結論でも、直したい場所は人によって違う。
- 拡充の6人も延べ17回言及しており、最も太い帯は「制度設計・成果指標」(6人)に向かう。続ける側も無条件の継続ではなく、条件付きの支持と読める。
- 制度設計・成果指標には、広域的に再構築を除く4つの結論すべてから帯が届く(16人)。どの立場からも避けて通れない論点になっている。
発展的に再構築広域的に再構築要改善現行通り拡充
母集団: 特記事項に論点が読み取れた22名(市民判定人16・外部委員4・傍聴者2)。帯の幅はその論点に言及した実人数。
発展的に再構築 1広域的に再構築 0要改善 5現行通り 4拡充 6
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 事業自体への評価と、成果指標や対象の線引きが粗いという指摘が同居しており、制度の作り込みが論点であること自体は3つの立場に共通している。
- 分かれる点
- 直す深さ。要改善の側は、参加者アンケートでは市全体への効果が分からないとして指標の測り方を問い、拡充の側も同好会的な集まりへの補助を挙げて対象の線引きに注文を付ける。作り直す側は、補助金で行事を維持する手段そのものの見直しと地域づくり協議会の検討を求めており、処方箋は「指標の作り替え」から「制度の再設計」まで幅がある。
根拠となる発言の原文(2件)
要改善市民判定人「成果発表のアンケートって参加者対象でしょ。そこでいい結果でも太田市全体の結果にはならない」
拡充市民判定人「実施事例を見ると同好会的な集りの補助も見られ、必らずしも地域コミュニティ作りとは思えないものがあるが、」
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発展的に再構築 1広域的に再構築 0要改善 3現行通り 2拡充 2
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 担い手が高齢層に偏っており、入れ替わりが課題だという問題意識は、結論が違う3つの立場に共通している。
- 分かれる点
- 設計の前提。審査委員の無作為抽出や若い層からの登用といった若者を呼び込む制度改革を求める声と、子育てや仕事でせいいっぱいの若い世代ではなく、活力と時間のある高齢者が主体でよいとする声で、処方箋が逆を向いている。
根拠となる発言の原文(2件)
拡充外部委員「審査委員は無作為抽出にし、若い層からつのる」
現行通り市民判定人「若い人は、育成会、PTAなども参加しない傾向です。子育て、仕事でせいいっぱい。コミュニティも、地域外にもっている。活力と時間のある高齢者が主体でいいのではないでしょうか。」
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発展的に再構築 0広域的に再構築 0要改善 5現行通り 2拡充 3
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- この事業を知らなかったという声が判定人自身から複数出ており、認知不足は結論を問わず共有されている。ゴミステーションや公園の整備を市役所の通常業務と思っていたという記述もあり、活動が事業の成果として見えていない。
- 分かれる点
- 広報の作り方。名前だけでは何の事業か伝わらないため、活動例が目に浮かぶ紹介への作り替え、「広報おおた」への実施例の掲載、SNSや学校を巻き込んだ発信と、提案は幅広い。実施団体を増やす団体向けの周知か、成果を実感してもらう市民向けの発信かで力点が分かれる。
根拠となる発言の原文(2件)
要改善市民判定人「太田市民として10数年になるが、1%まちづくり事業について知らなかった。もっと広報活動をすべき」
要改善傍聴者「活動そのもののPRが不足していないか。ゴミステーション、公園整備など、通常の市役所での業務と認識していた。広報活動の工夫が必要と感じた。」
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発展的に再構築 0広域的に再構築 0要改善 5現行通り 1拡充 3
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 申請書が難しく手間が重いことが参加の壁だという認識は、「要改善」と答えた人たちと「現行通り・拡充」と答えた人たちで一致している。
- 分かれる点
- 負担の受け止め方。補助額と事務量が見合わず申請をあきらめる団体があるという指摘の一方で、お金をもらう以上めんどうな手続きは当然という受け止めもあり、そのうえで参加しやすくする工夫を求める点では重なる。どの書類・工程から簡素化するかが具体論として残っている。
根拠となる発言の原文(2件)
拡充市民判定人「補助額が少ないと申請事務量とを考え申請しない。申請事務軽減をどうするか。」
要改善市民判定人「申請に慣れが必要。申請や成果報告をやる人はボランティア?不安があるのでは。申請が難しい。」
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発展的に再構築 1広域的に再構築 0要改善 4現行通り 0拡充 1
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 補助金を出すだけでなく、申請や運営を手伝う人が要るという点で、「要改善」と答えた人たちと拡充を求める人たちは一致している。
- 分かれる点
- 支援の形。申請の説明会や書類作成の講習会、事業を改善する外部アドバイザー、全220団体への聞き取りと地域おこし協力隊・集落支援員の活用まで提案は幅広く、お金を配る事業から活動を育てる事業へ性格を変えるかどうかの分岐になっている。
根拠となる発言の原文(2件)
拡充外部委員「3年かけて全220団体を回りヒアリングしてはどうか。それにあたっては、地域おこし協力隊や集落支援員を採用し、地域を回ってもらっても良いかも。」
要改善市民判定人「補助金の申請に関する説明会、申請書類の作成方法などに関する講習会が必要だと感じました。」
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発展的に再構築 0広域的に再構築 0要改善 3現行通り 1拡充 2
← 作り直す側このまま続ける・広げる側 →
- 共通認識
- 補助金があっても参加しない団体・人が多数いるという認識は共通している。参加しない理由は申請の煩雑さだけではなく、自治会を閉鎖的と感じる距離感や、声をあげられない人の存在も挙がった。
- 分かれる点
- 格差への向き合い方。補助金は活動できる団体にしか届かず、活発な地区はより活発に、人手のない地域には届かないという構造への指摘がある一方、自治会の参加率低下を実感しつつ制度としては続けてよいとする受け止めもあり、地区間の差を制度側の設計で埋められるかが残っている。
根拠となる発言の原文(2件)
要改善市民判定人「活動が活発だから補助金申請できるんでしょ。 人がいなくて活動できないんだから補助金とか以前の話」
現行通り市民判定人「自治会の参加率(→低下)や、コロナで行事の縮小・廃止があったのは私自身感じています。」
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2. 似た事業に取り組んでいる自治体の判断
太田市の制度は、団体が事業を提案し、1%まちづくり会議が審査して採択する補助金型で、同じ「1%」を名乗る制度でも、納税者個人が支援先の団体を選ぶ方式とは設計が違う。
-
個人選択型をやめた事例
- 市川市(千葉県)「1%支援制度」:納税者個人が支援したい市民活動団体を選び、個人市民税の1%相当を充てる方式。2005年度に全国で最初に始まり、平成27年度(2015年度)で終了した。市の説明では、終了の理由は制度が複雑で参加する市民が少なかったことである。平成28年度からは、個人が選ぶ方式をやめ、審査会が採択する補助金方式の「市川市市民活動団体事業補助金(いちサポ補助金)」に変わった。
- 一宮市(愛知県)「市民が選ぶ市民活動支援制度」:2008年6月に始まり、令和2年度(2020年度)実施事業分で終了し、翌年度から「一宮市市民活動サポート補助金」へ移行した。終了理由の詳細は確認できていない。
- 2市が移った先はいずれも審査型の補助金で、太田市はもともと審査型である。この比較から出てくる論点は「参加する市民が少ない」ことではなく、継続事業の固定化、地域格差、担い手の高齢化という別系統になる。
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個人選択型を続けている事例
- 大分市「あなたが支える市民活動応援事業(1%応援事業)」:納税者個人が支援先を選ぶ方式を継続している。2025年度は募集団体100、補助金の確定額は約1,393万円。制度の型が違うため金額の大小は比較にならないが、個人選択型が成立している例はある。
-
担い手不足への他の手だて
- 鯖江市(福井県)「JK課」:2014年発足。市内在住・在学の女子高校生が地域活動を提案・実行する枠を行政の側に作った。2023年度で第10期、新規12人。
- 自治会活動のデジタル化:千葉市・流山市などで電子回覧板の実証が行われ(総務省実証事業、2024年3月報告書)、金沢市は町会連合会とアプリ事業者の三者協定で導入している。
- 補助金手続きの電子化:練馬区、東京都、川崎市(e-KAWASAKI、2023年度〜)が電子申請を進めている。太田市の1%まちづくりも令和8年1月から電子申請ができる(令和8年度募集案内)。
- 審査への若者の参加、伴走支援、地域おこし協力隊の活用を1%型の制度に直接組み込んだ他市の実例は、今回の調査範囲では確認できなかった。
関連する行政事業の記録
自治体の事業仕分け・行政評価の公開記録を検索できる「Jレビュー」と、国の行政事業・予算・支出先を検索できる公開データベース「JUDGIT!」から、市民活動への補助と協働のあり方を考えるうえで関連する記録を抜き出した。
- 注1 サンキー図だけは帯の交差が少なくなる順に置いているが、番号は共通である。「作り直す」は発展的に再構築と広域的に再構築を、「続ける・広げる」は現行通りと拡充をまとめた呼び方で、図の色は5つの判定のままである。並び順に使った「合意の広さ」は、全体レポートの2節と同じ指標で、3つの立場(作り直す・要改善・続ける/広げる)それぞれについて、その立場の人のうち何人がその論点に触れたかを割合にし、3つを掛け合わせた値で降順に並べている。掛け算なので、1つの立場からしか挙がらない論点は自動的に下がり、立場をまたいで挙がる論点が上に来る。人数の少ない立場で値が跳ねないよう、割合は「言及した人数+1」÷「その立場の人数+2」として数える。単純な言及人数の多い順ではないため、8人の「若者・担い手の参加」が10人の「広報・認知不足」より上に来る。並べ方そのものを比べた試作は試作のバタフライ図にあり、同じデータをスパイン、ヒートマップ、沖積図などに置き換えた案も同じ場所に並べてある。
- 当日の判定で集計に入るのは市民判定人と外部委員の25票である。傍聴者4名の票は現地の「倍速アンケート」(58セッション・回答351件・AIの追加質問195問、うち回答146問)に基づく参考値で、当日の集計には含まれない。標本は小さく、1名の記述を総意として読まない。無記入や沈黙は反対を意味しない。紙の評価シートはスキャン134ページを全数OCRし、集計シートの得票数と個人シートの○の枚数が全5事業で算術一致することを確認済みである。
-
数値の一覧表(各グラフの出どころ)
| 指標 | 値 | 出典 |
| 令和7年度 申請件数 | 135件 | 令和8年度募集案内 29ページ (令和7年11月末現在) |
| 令和7年度 採択件数 (うち新規) | 133件 (13件) | 同 |
| 令和7年度 採択金額 | 44,542,000円 | 同 (本文・グラフでは4,454万円と表記) |
| 令和7年度 総事業費 (採択時) | 62,736,079円 | 同 |
| 令和8年度 当初予算 | 6,000万円 | 太田市「令和8年度当初予算(案)の概要」 |
| 開始年度別の採択事業数 | H18〜22: 49件 / H23〜27: 22件 / H28〜R2: 23件 / R3〜6: 26件 / R7新規: 13件 | 募集案内 25〜29ページ「令和7年度 地区別審査結果」から集計 |
開始年度別の件数は、地区別審査結果に載る採択事業の「開始年度」欄を本レポートで数えたもの(継続120件+新規13件=採択133件で、同資料の集計欄と一致する)。
- 太田市「令和8年度1%まちづくり事業募集案内」(PDF)・太田市「令和8年度当初予算(案)の概要」(PDF)・太田市「1%まちづくり事業とは」
- 本ページは2026年8月28日版。公式資料と当日の記録を反映したが、担当課の確認を経ていない。ヒアリングのあと、担当課の回答と訂正を併記した版に更新する。それまで一般には公開しない。事実誤認はヒアリングの場で指摘してほしい。訂正はこのページと全体の分析レポートに反映する。
- 作成は合同会社多元現実(構想日本のクライアントワーク)。発言の整理と草稿作成にAIを使い、引用の原文一致と数値の出典は人が確認した。数値の出典は上の一覧表のとおり。事業の経緯と課題の記載は太田市議会「政策評価・事務事業評価」(H26年度評価シート・H30年度検証シート)にもよる。2節の事例は市川市・一宮市・大分市・鯖江市の公表資料、総務省の実証事業報告書(2024年3月)、Jレビューの公開記録による。10事業を横断した比較、手法、検算、データ来歴は全体の分析レポートの付録で確認できる。